ファイバーレーザー技術 Fiber Laser Technology
1.ファイバーレーザーの原理
◎定義:ファイバーレーザーは増幅媒質に光ファイバーを使った固体レーザー
◎構造:光ファイバーは、ダブルクラッド構造のものが使われている
真ん中のコアには希土類元素(Yb, Er,. Er:Yb, Tm, Nd等)がドープされている
発光効率がいいYb(Ytterbiumイッテルビウム)を使用するのが一般的
◎原理:励起光はインナークラッド(Inner Clad)に入射
⇒アウタークラッド(Outer Clad)との境界で反射されながら伝搬するうちに希土類元素に吸収
⇒これにより、反転分布が生じて光が放出
⇒2つのミラー(入射側に高反射ミラー、出力側に低反射ミラー)間で反射を繰返す
⇒レーザーを発振
2.パルス発振ファイバーレーザーの構成例
◎構成例:MOPA (Master Oscillator Power Amplifier)
◎主な用途:微細加工 (マーキング、薄板のパターニング、スクライビング等)
★連続発振 (CW:Continuous Wave)の場合、溶接等の加工分野に適している
◎構造:シードLD (Seed Laser Diode)をパルスジェネレータでパルス発振させアンプで2段階増幅する構造
◎利点:パルス幅、繰返し周波数等をジェネレータで制御できる
3.ファイバーレーザーの特長とメリット
◎優れたビーム品質
:M2~1でファイバー導光できる1μm出力 (CO2:10μm、FIBER:1μm)
:小さなスポットサイズにより高反射率の金属、高精細加工分野に最適 (CO2の1/10のスポットサイズ)
:BPP (Beam Parameter Products:ビームパラメータ積)比較
⇒ Fiber 0.34mm m rad // CO2、YAG、YVO4 6~25mm m rad
:DOF (Depth Of Field:焦点深度)比較
⇒ 200 micronsの場合、Fiber 58.8mm // CO2、YAG、YVO4 0.8~3.3 mm
◎高出力
:単一のLMA(Large Mode Area)ファイバーから1kWを超える出力
:高い出力により高い加工スループット(Throughput:単位時間当たりの処理能力)を得られる
◎高効率
:高効率のLD (Laser Diode)励起動作
:30~40%のWPE (Wall Plug Efficiency:壁コンセント効率)
⇒ CO2、YAG、YVO4の場合:WPE 1%~20%
:75%以上のOE (Optical Efficiency:光学効率)
⇒ CO2、YAG、YVO4の場合:OE 4%~50%
:低い保有コスト(Cost Of Ownership)、低いサービス要件 (Service Requirements)を実現
:空冷動作が可能 (冷却による消費電力やメンテナンスが不要)
◎業界最長の発振器寿命
:IPG PHOTONICS製の場合、100,000時間以上 (CO2、YAG、YVO4の場合:2,000~20,000時間)
:レーザーの停止時間 (MTBF:Mean Time Between Failure平均故障間隔)を短縮
◎高い信頼性
:モノリシックな全ファイバー構造によりレーザーの寿命となるまでビーム品質は不変
:メンテナンスフリー (定期的な発振器の交換不要、アライメント不要 等)
:調整する共振器光学素子が無い
:振動・衝撃に強く、業界唯一モバイルが可能